2020.02.27
新型コロナウイルスに関する世間の空気感から私なりに思うこと
新型コロナウイルスに関する報道は多いものの、実際にかかるとどのような症状でどのような治療をするのかあまり聞かない。
ネットで調べてみると2月7日付の日本経済新聞に症状と治療法について触れられていたので以下のとおり転載する。
▼令和2年2月7日、日本経済新聞記事抜粋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中、謎の多い感染症の姿が見えてきた。日本や米国、中国などの専門家が発症した患者の経過を明らかにし始め、症状の特徴や治療薬候補の効果の可能性などがわかってきた。症状は重症急性呼吸器症候群(SARS)などと比べると比較的軽く、風邪やインフルエンザに近い症状が多いなどの見方が浮上している。
日本感染症学会は、新型コロナウイルスに感染して発症し、国立国際医療研究センターで治療した3人の治療経過や分析結果を公表した。中国湖南省在住の中国人は、せきや発熱、悪寒などの症状があった。レントゲンやコンピューター断層撮影装置(CT)で肺に影が見つかり、新型コロナウイルスによる肺炎と診断。一時、軽い呼吸困難などに陥り、エイズウイルス(HIV)薬を投与した。その後、呼吸の状態悪化などは起こらずに、入院5日目に体温が37度まで低下。酸素吸入もいらなくなった。
残りの2人はいずれも武漢市に滞在歴がある日本人。1人は、微熱が続いたが肺炎はなく回復、もう1人は肺炎と診断されたものの呼吸困難などは見られなかった。3人とも重症ではないと指摘している。
米疾病対策センターによると、新型コロナウイルスによる肺炎の主な症状は発熱やせき、息切れだ。米国初の患者もせきや発熱から肺炎を発症、12日目に症状が改善したと報告されている。
国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センターの長谷川秀樹センター長は「初期の症状はインフルエンザと近い」と指摘する。大阪大学の朝野和典教授も「インフルエンザや風邪と区別がつきにくい」とした上で「鼻水やのどの痛みは少なく、発熱とせきが多いようだ」と話す。
~新型コロナウイルスによる肺炎などの主な特徴と対処法~
〇咳や発熱、たんなど
⇒症状に応じて解熱剤やたん切り用の薬などを投与して症状を緩和。
〇ウイルスが肺を攻撃
⇒新型コロナウイルス専用の薬は無いがインフルエンザなど既存の抗ウイルス薬を投与している例も。
〇細菌が肺を攻撃し、肺炎が悪化
⇒細菌の種類に応じて抗生物質を投与。
〇重い呼吸不全や腎不全などの臓器不全
⇒人工呼吸器などで酸素補給。人工透析をおこなうことも。
※出所:ランセット誌やNEJM誌、国立国際医療研究センターの公表情報のほか、取材に基づいて作成。
海外でも報告例が相次ぐ。武漢市ジンインタン病院は医学誌「ランセット」に1月末に掲載した論文で、同月1~20日に確認した99人の患者を25日まで観察した。8割強が発熱とせきを訴えたほか、31人に息切れ、11人に筋肉痛が出た。下痢は2人だった。
感染研の長谷川氏は「新型コロナウイルスは、比較的早い段階で肺炎や呼吸器症状が出るようだ」と話す。SARSや中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)で出た下痢は「今のところ少ない」とみる。
ベトナムのホーチミン市パスツール研究所などは1月末に、米臨床医学誌の「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に論文を発表。武漢市からベトナムへ来た65歳の男性の新型コロナウイルス感染を報告。肺炎の状態を確認、酸素補給などの措置を受けて回復した。この男性は心臓病などの慢性疾患を持っていた。
東京医療保健大学の菅原えりさ教授は「抗がん剤の投与を受けたり、既に他の病気があったりした人は重症化しかねない」と重症になりやすい人の条件を指摘する。ベトナムや武漢市の事例の一部がこれにあたる。糖尿病や高血圧などを持っていた。
一方で、報告されている範囲で重症化する人に共通する確実な特徴はなく、神戸大学の中澤港教授は「どういう人が肺炎へと移行し重症化するのかまだわかっていない」との見方を示す。東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授は「重症化しているのは高齢者や基礎疾患を持つ人ばかりではなさそうだ」と話す。大気汚染や不十分な医療体制なども重症化の要因とみる。
治療法について、国立感染症研究所の感染症疫学センター・鈴木基センター長は「新型コロナウイルスをやっつける直接の治療法は現段階ではない」とし、基本はウイルスが体から自然に排除されるのを待つ対症療法だという。具体的には解熱剤や、せき止めなどの薬を服用する。ただ、新型コロナウイルスの感染で免疫が弱くなりやすく、細菌が感染する二次感染などで肺炎が重くなる可能性がある。その場合は、「普通の肺炎と同様に、抗生物質で肺のダメージを抑える治療法が有効」と話す。
海外を中心にウイルス自体をたたく抗ウイルス薬も積極的に投与している。武漢市のジンインタン病院の論文では99人の患者のほとんどが抗生物質の投与を受けたほか、75人がインフルエンザ治療薬の「オセルタミビル」やHIV薬の「リトナビル」などの抗ウイルス薬を使った。31人が退院したが、11人が亡くなった。論文中では「重症の患者を早期に発見し、タイムリーな治療が重要」と指摘している。薬の効果を評価するのは時期尚早のようだ。
症状が出ない人も含めて人から人への感染により、新型コロナウイルスの遺伝子が変異し、感染力が高まる可能性はある。今後の発症後の症状の変化について神戸大の中澤教授は「(症状の重さを左右する)ウイルスの毒性は高まる可能性はあり得る」としながらも「感染力が強まれば、毒性は弱まるだろう」と話す。
(草塩拓郎、猪俣里美、岩井淳哉、出村政彬、スレヴィン大浜華)
以上、新聞記事の転載・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
我が国は独裁国家ではないので、感染を防ぐために戒厳令を敷いて学校も会社も満員電車も経済活動のすべてを止めて、強力な防護服を着用した自衛隊や警察官が国民の外出を取り締まったりすることは現実的でない。
ただ、とんでもない強力な感染力で致死率100%の感染症ならば、そういった措置も考えなければならないのかもしれないが、現在の新型コロナの致死率は2%程度とされており(実際に後段で計算してみるがもっと低い)、これに戒厳令的手法を用いるのは牛刀割鶏であり不適切と考える。
新型コロナとはどの程度の敵なのかをきちんと把握し、それに対してどれほどの国民の自由を制限する対策(感染者の隔離も国民の自由を制限する行為である)が適切なのか、その場合の感染者数をどの程度の見込みまで許容するのか、そしてそれが国民感情として許されるのか。
民主国家の政治家(選挙で選ばれる政治家)にとって対策を思案する際のポイントと考える。
さて、日本国内の感染症と言えば毎年流行するインフルエンザが第一に思い浮かぶが、インフルエンザの「流行」には定義があり、全国約5000の病院で定点観測して、1週間に平均1人以上の新患者が一つの病院で報告されると流行と判断される。
今シーズンのインフルエンザは令和元年第45週(11月4日~11月10日)に定点当たりの報告数が1.03となり、流行期に入った。
今シーズンのインフルエンザの累計患者数は、昨シーズンの1100万人より少ない見込みで、現時点で約675.2万人である(国立感染症研究所2月19日発表)。
昨シーズンのインフルエンザ死者数は3000人余り(国立感染症研究所)なので、単純計算するとインフルエンザの致死率は0.03%ということになる。
これに対して新型コロナウイルスの感染者は2月26日現在で894人(このうち705人はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗船者)で死者数は7人。(中日新聞)
単純計算して致死率は0.78%となる。
よって、致死率0.78%の新型コロナでは38万人の感染者が出てはじめて昨シーズンのインフルエンザ被害(死者3000人)に追いつくということになる。
現在、世界の感染者数は約8万1993人(日本経済新聞2月27日)。
日本だけで38万人の感染者が出たらこの国の終わりくらいの大騒ぎになりそうな今の空気感だが、昨年のインフルエンザと同等の死者数であって、インフルエンザであろうが新型コロナであろうが、3000人という命の重さに変わりはない。
感染症は人から人に感染する。前述のとおり感染リスクをゼロにするには経済活動を全面的に止めるしかない。感染力に差はあるものの、新型コロナもインフルエンザも同じだ。
油断は禁物であるが、インフルエンザへの関心に比べ、新コロナウイルスへの異常な関心の高さ(インフルエンザへの関心の低さ?)は、いささか極端すぎはしないかと感じる。
その極端さの根源は、ひとえにマスコミ(特にテレビ)の報道の仕方にある気がしてならない。
いよいよ政府もスポーツ・文化イベントの自粛要請を発表した。
国が対策として一定の国民の自由を制限した場合(集会等の中止命令などを出した場合)、国が決めたのだからと、それによって個々に発生した経済的損失を国家賠償請求されたのでは国も困る。
よって、イベント等に出かけないよう「自粛を要請」するのみで「禁止」できないのだろうと推察する。
最近、地元の方と懇談する中でこの話題になり「“これだけマスコミで問題になっている”のに中止しない方が不見識なのだ」だとおっしゃる老人がいた。
ご老人には申し訳ないが、危ないと思えば行かなきゃいいのに、と私なら考える。
“これだけ問題にしているマスコミ”に申し上げたい。その危険か否か判断させるための情報こそマスコミが熱心に流すべき情報なのではないか。
そもそもインフルエンザでは毎年数千人単位で死者を出している。
誰かに中止にしてもらわなくても困らない、自己判断できる国民が増えることこそが毎年のインフルエンザをはじめ感染症死者数を減らす要因になるのではないか?
私のツイッターに「放置国家日本w」と書き込みをくださった方がいた。
全く何も対応しない無策の政府はもちろんダメだが、何も自分で判断しないで、おんぶに抱っこされなきゃ全て政府が悪い、放置された!と感じる方にはぜひ自己意識改革をお勧めしたい。
くりかえしになるが、新型コロナとはどの程度の敵なのかをきちんと把握し、それに対してどれほどの国民の自由を制限することが適切なのか、その場合の感染者数をどの程度の見込みまで許容するのか、そしてそれが国民感情として許されるのか。
それらから導き出される新型コロナ対策。民主国家の政府に期待するのはここまでである。
結局、自分が感染しないためには自分が自分(家族)のために対策しなければならない。
世間ではマスクが品薄で、対策しない政府が悪いとテレビから聞こえてくる。
昨年、千葉の台風で長期断水した様子を見て次の台風が私の地元に近づく前日、地元のスーパーやコンビニからペットボトルの水が消えた光景を思い出す。
おかげさまで我が家では急に水を買いに走ったり、急にマスクを買いあさることはない。
毎年のインフルエンザに備えて常に紙マスクが2箱ほど洗面所の戸棚に置いてある。
水もしかり。防災用に常に5箱ほど倉庫においてあり、愛飲のサントリーウイスキーの水割りに古いものから使い、一箱減ればまた一箱買い足して循環させているため、いつでも水の賞味期限切れの心配はない。
誰かにやってもらうことではない。自己防衛するしかない。
そして、自己防衛のためにインターネットは実に便利である。
細かな資料や数値も国立感染症研究所のHPや厚生労働省のHPから集めることができる。
特に特別なネットワークを持っているわけではなく、誰でもスマホやパソコンがあれば知ることができる。
もう、テレビの言うこと鵜呑みにして右往左往したり、知ったかぶってひとのせいにするのやめませんか?
自分の指で調べてみませんか?
是非、おためしあれ。